
本当に読み取り作業がラクになる
AI OCRとは?
AI OCR徹底比較ガイド
AI OCRのチェックポイント・選び方
AI OCRツールは提供する機能や精度、コスト、サポート体制などが大きく異なるため、ポイントを押さえずに選んでしまうと期待した効果を得られない可能性があります。そこでここでは、AI OCRの選定に注意すべき理由とチェックポイントを解説します。
AI OCRの選定に注意すべき理由
AI OCRを選ぶときに注意しなくてはならない理由としては、以下が挙げられます。
精度に差がある
AI OCRはツールごとに精度に大きな差があるので、導入するときには注意が必要です。AI OCRは文字を認識してデータ化する技術ですが、提供するベンダーやアルゴリズムの違いによって、認識できる文字の種類や精度が大きく変わります。特に、手書き文字やかすれた印字、特殊なフォントを扱う場合には、その差が顕著に現れます。
もし精度の低いツールを選んでしまうと、読み取りエラーが頻発し、結局は手作業による修正に多くの時間がかかり、効率化どころか業務負担が増えてしまうリスクがあるので、精度はしっかりと確認しなくてはなりません。
機能に差がある
AI OCRに搭載されている機能にも大きな違いがあるので、選定時に確認すべきです。
シンプルに文字を認識するだけのツールもあれば、レイアウト解析や表組みの認識、複数言語への対応、AIによるテンプレート自動生成や項目指定読み取りといった機能、さらにはクラウド連携やRPAとの統合機能まで備えた高機能なツールも存在します。
こうした機能差は業務効率に直結し、導入後の負担や成果にも大きく影響します。そのため、自社の帳票や運用フローに合った機能を備えているかどうかを注意してチェックする必要があるでしょう。
システム連携や運用環境に制約がある場合がある
AI OCRを導入する際には、システム連携や運用環境に制約がある場合があるため注意が必要です。
AI OCRは単独で動作するだけでなく、基幹システムやERP、文書管理システムなどとの連携を前提に利用されるケースが多いです。しかし、製品によっては特定の環境でしか利用できなかったり、APIの対応範囲が限定されていたりするため、想定していた業務フローに組み込めないリスクがあります。
その結果、業務効率化を目的に導入したにもかかわらず、逆に作業が増える可能性もあるのです。一方で、既存システムとスムーズに統合できる製品もあるため、事前に要件を確認するのがよいでしょう。
コスト負担が想定以上になることがある
AI OCRは高精度な文字認識や自動仕分けなど便利な機能を備えていますが、導入にあたってはコスト負担が想定以上になる可能性があるため、選定には注意が必要です。初期導入費用やライセンス料に加え、利用量に応じた従量課金が発生するのが一般的です。
従量課金には、読み取り箇所ごとに課金する形式や帳票の枚数ごとに課金する形式がありますが、項目数や処理枚数が増えると、当初の想定よりも大きなコストがかかってしまうケースがあります。さらに、既存システムとの連携開発や運用体制の構築に追加費用が必要になる場合もあり、結果的に見積もりを上回る支出につながる可能性があるのです。
サポート体制に差がある
AI OCRを導入する際には、提供ベンダーによってサポート体制に差がある点にも注意が必要です。導入時の設定や既存システムとの連携には専門的な知識が求められることが多く、サポートが不十分だとスムーズに運用を開始できない場合があります。
また、運用を始めてからも、文字認識の精度改善やエラー対応、仕様変更への対応など、継続的なサポートが不可欠です。しかし、ベンダーによっては問い合わせへのレスポンスが遅かったり、サポート窓口が限定的であったりする場合があり、業務に支障をきたすリスクがあります。
安心して利用するためには、導入前にサポート範囲や対応スピード、サポート窓口の体制を確認し、自社の運用体制に合ったベンダーを選ぶことが重要です。
AI OCR選定のチェックポイント
AI OCRの選定においては、以下のようなポイントを確認するのがよいでしょう。
非定型帳票対応か
AI OCRを選定する時には、非定型帳票に対応しているかを確認しましょう。
注文書や請求書、領収書など、企業が日常的に扱う帳票の多くはフォーマットが一定ではなく、取引先ごとにレイアウトや記載項目が異なるケースが少なくありません。AI OCRによっては定型帳票の読み取りには強みを持ちますが、レイアウトが変わると認識精度が大きく落ち、都度テンプレートの作成・修正が必要になるという課題があります。
非定型帳票対応のAI OCRであれば、帳票の形式が異なっていても共通の項目を認識し、正確にデータ化できます。例えば、発行元が異なる請求書であっても「請求日」「金額」「振込先」などの情報を自動抽出できるのです。そのため、自社が扱う帳票が非定型である場合には、AI OCRが柔軟に対応できるかどうかを必ず確認する必要があります。
無料トライアルの有無
AI OCRの導入を検討する際には、無料トライアルの有無を確認することも大切です。
AI OCRはサービスごとに文字認識精度や対応できる帳票の種類、操作性、システムとの連携方法、サポート内容などが異なります。そのため、事前にトライアルを利用して、自社の自社の目的を達成できるか、どの程度の精度で読み取れるかを確認しておくことが重要です。
無料トライアルを活用することで、現場の担当者が実際に操作してみて業務フローにどのように組み込めるかを具体的に検討できます。無料トライアルを通じて得られる情報は、単なる機能比較にとどまらず、実際の運用シーンを想定した評価につながります。そのため、導入を成功させるためには、無料トライアルを積極的に活用し、サービスを比較検証することが不可欠です。
テンプレート自動生成
AI OCRの選定においては、テンプレート自動生成機能が搭載されているかどうかもチェックしておきたいポイントです。
AI OCRによっては帳票ごとにテンプレートを手動で作成しないといけないものがあります。こういったものだと、取引先ごとに異なるフォーマットや新しい帳票が追加されるたびに設定や修正の手間が発生していました。これは現場担当者にとって大きな負担となり、結果として運用コストの増加につながります。
AIがテンプレートを自動で生成する機能を備えたAI OCRであれば、帳票を読み込むだけでレイアウトを自動解析し、必要な項目を自動で抽出してテンプレートを作成してくれます。それによって手間を大きく削減できるでしょう。
歪み補正
AI OCRを選ぶ際には、歪み補正機能の有無も確認しておくのがよいです。帳票や書類は、スキャナでの取り込みやカメラ撮影の際にどうしても傾きや歪みが発生することがあります。そして、傾きや歪みが発生した書類を読み込む際には、これを補正しなくては文字認識精度が低下してしまいます。
歪み補正機能を搭載したAI OCRであれば、画像の傾きや湾曲を自動的に修正し、読み取りやすい状態に整えてから文字認識を行うことができます。これにより、精度の高いデータ化が可能となり、手作業による修正や再スキャンの手間を削減できます。